中年と言われる歳も過ぎ、引退が見え始めた頃に男は何を思うのか。モノに溢れ、豪華で洒落た食事と煌びやかな都会の生活に飽和した男の心は渇いた荒野を欲していた。しかし、荒野に立ってみれば、欲しかったのは飽食の生活を補う風景でもなければ、砂漠を突っ走るステアリングの感触でもなかった。男は人に出会い、人の人生に巻き込まれ、人と運命を共にすることで、荒野ではなく、自分の中に大きく広がった原風景を見つける。そしていつしか見失っていたその景色の中で、忘れかけていた自分を見つけ共に歩き始める。そして男と出会った青年たちもまたそぞれの原風景を見つけ、その道を歩み出す。彼らのそれぞれのマザーロード、ルート66に向かって…。
500ページを超える超大作。アメリカの広さと多様さを大地を走ることで痛感し、その一日一日の経験が凝り固まった心をほぐし、新しい自分を見つけていく。それは新しくもしかし、それが本来の自分であるのだということを発見させてくれる一冊です。
目次
プロローグ
第一章 外堀通りにて
第二章 荻窪のアパートの一室にて
第三章 空港にて
第四章 シカゴにて
第五章 ザ・マザーロード・ツアー
Day 1 シカゴから
Day 2 リンカーンから
Day 3 セントルイスから
Day 4 レバノンから
Day 5 ジョプリンから
Day 6 カトゥーサから
Day 7 エルクシティーにて
Day 8 エルクシティーから
Day 9 ベガのホープランチにて
Day 10 アルバカーキにて
Day 11 アコマ・プエブロから
Day 12 フラッグスタッフから
Day 13 ラスベガスから
Day 14 LAXにて
エピローグ 3日後
Sumito Sam Okamoto
ペーパーバック・ライター/ランドスピード・チャレンジャー/プロデューサー
1956年北海道札幌市生まれ。10歳から東京で育つ。19歳でアメリカへ渡り国内を旅して回った後、ロサンゼルスに定住。ディズニーランドの運営に興味を持ったことがきっかけとなり、オープン3年前より東京ディズニーランドのプロジェクトに参画するため日本に戻る。運営計画部、運営部、広報室、商品部で10年間勤務した後に退社。エンターテイメントのコンセプト・デザイン会社The Works副社長として、ロサンゼルスに移住。映画製作に特化したプロジェクト管理ソフトウェアーCinnamonを開発。このシステムを使って製作する映画のプロットとして「ザ・マザーロード/ルート66」を発案。その後、このストーリーをドラマ・シリーズ化するプロジェクトを立ち上げ、現在も継続中。F-5 Spirits Racing Teamを組み、時速500キロ達成を目指して、ボンネビル・ソルトフラッツでのランド・スピード・トライアルに挑戦中。(現在までに記録した最高は、時速281キロ。)